行くも地獄、帰りも地獄、それが資産計画
「言うは易し行うは難し」を地で行くのが、DIE WITH ZEROの考え方です。
普通に定年を迎えて、定年後は年金プラス資産を切り崩して生活する想定だったとしても、自分が一体何歳まで生きているかは分からないため、予算の取り崩しは控えめな物になるはずです。
そうして、出費を抑えている間に80歳、90歳と年を重ね、その頃にはスッカリ消費意欲が無くなっていて、結局たんまり残したまま亡くなるというのが、日本では良くあるパターンなのではないでしょうか。

60歳過ぎても難しいものですが、FIREした場合は更に難度が上がります。
何しろ、年金までの時間も長い、年金支給からの時間も(恐らく)長いとかなりの長期に渡る資産計画を考える必要があるからです。

以前、FIREした場合のDIE WITH ZEROの考え方を書いたことがありますが、目安はあっても実際そのとおりにできるかは別問題です。
個人の考え方によって取り崩し計画は大きく異なるはずです。
ですが、FIREを達成する程の資産管理能力があれば、恐らく節制気味の取り崩し計画にすると思います。
資産形成期と取り崩しは恐らく全く別物だと思います。
増えていくのは嬉しいですが、減っていくのは恐怖ですからね。
資産を大きくしてきた人ほど、減らす方には慎重になるはずです。
気分的にも減らしたくないと考えるでしょう。
特に1億円とかの大台に到達してしまうと、大台を割り込みたくないという考え方に憑りつかれてしまう可能性もあります。
今日は、資産取り崩しについてのお話をしようと思います。
退職金を貰った後に散財するパターンと同じやんけ
国になんて1円も残す気はない、死ぬまでに全部使い切るぞ!…資産8,000万円の60歳会社員、誰もが羨むリタイア生活に満面の笑みも、わずか8年後に老後破産危機へ転落したワケと言う記事を見ました。
使い切りたいのは私も同じです。
国に残すくらいなら死ぬまでに使い切りたい。
ですが、死ぬ前に使い切るのはNGです。
正直、1から資産8,000万円を作れる人が何にも考えずに野放図に使っていって、老後破産する可能性はありません。
ですが、もしかしたら自分にも当てはまる可能性があるかもしれないので、確認しておこうと思います。

記事の内容を要約すると、60歳の時に資産8,000万円を保有してリタイアした田中氏、独身で一人っ子なので残す人も居ないし、どう使い切るかに悩んだそうです。
そこでマンションをリフォームして、外車を買ってとジャブジャブ使っていった結果、68歳時点で数百万円まで資産が減っていたという話です。
うん・・・
何か変な話ですね。
これは、1から資産形成して8,000万円を作った人の話ではありませんね。
退職金で気が大きくなって散財した挙句、金が無くなった人と同じ行動パターンです。
年金は月あたり12万円という記載があるので、現役時代の年収は270万円程度です。
これといった趣味もなく仕事に打ち込む人生を送ってきたので、自然とお金が貯まったという記載がありますが、あまり資産額の割合的には大きくないでしょう。
8,000万円作れた大きな原動力は、恐らく相続でしょうね。
相続でまとまった金が入ったので、早々に引退してパーッと使って70歳近くになってから資産が無くて困ったという話のようです。
1から資産形成してきたFIREの場合とは大きく異なるので、参考にはなりませんね。
身の丈に合わない生活をすると破綻する
この記事から得られるものはありませんが、もしあるとすれば生活水準を上げないということですね。
使い切りたいから生活水準を上げるというのは分からなくもありません。
ですが、余りに考えなし過ぎます。
この人の現役時代の平均年収なら手取りだと、215万円程度です。
この程度の年収で貯金も出来ていたのですから、現役時代はかなり節約した生活だったでしょう。
現役時代から生活水準上げ過ぎです。
60歳でリタイアしたなら、年金支給の65歳まで同程度の215万円で生活するべきでしょう。
これだけで、65歳時点で残り6,925万円
65歳の年金支給後も同じ生活するなら毎年71万円の赤字になるので、単純に取り崩しても97年もかかります。
ここまで来てから使い切りを考えても良いかもしれません。
残り6,925万円を使い切るなら、ここから月に20万円くらい取り崩すと83歳くらいでゼロになります。
年金支給後から、月に32万円の生活ってことですね。
この程度の使い方で収めなかったから、破綻したという話です。
身の丈に合わない生活を始めると、いくら資産があっても遠からず破綻するということです。
身の丈に合わせ過ぎて使い切れない場合もある
FIREした場合は、逆に使わな過ぎて減らないというパターンもあるので、取り崩し計画についてはよく考えていきたいところです。
私は60歳までは資産均衡の取り崩しを考えています。
資産が減らなければOKという考え方です。
少なくとも40代でリタイアしてから、ヒャッハーFIREしたぜ、外車乗り回して旅行も行きまくるぜとは考えられません。
4%ルールの4%以上プラスになった分を取り崩してプールしておいて、プールした分を旅行とかに使うくらいなら悪くないと思います。
60歳まで資産を一切減らさないという考え方をすると、相場の落ち込みがあった時に多少働く可能性もあります。
できればプールした資産でカバーしたいところですが、実際働くかはその時にならないと分かりません。
資産が減るのを指を咥えて見ているくらいなら、働いた方が良いと考える可能性もゼロではありません。
70歳を過ぎても資産が全然減っていなければ、取り崩し割合を変えてなるべくゼロに近づけていきたいと考えています。
ですが、どっちみちFIREのために資産形成してきた人は、資産が減った時に破綻に気付くということは無いでしょうね。
この記事の行動を見ているだけで、自分の力だけでは大した資産を作れていなかったことが分かります。
コメント
nekonabeさん おはようございます。はしQです。この話題は当方にとって非常に現実的な問題です。使い切れずに残すのは残念ですし、かといって使い切ってもまだ生きていて老後破産も避けたいですし、しかも、日々の生活はそこまで浪費がないし、物価の先行きもわからないとすると、計算上より少しセーブして結果的に資産が残ることはやむなししかないように思います。DIE WITH ZEROは見なかったことにし、ひとまず年金生活に入ったら、ボケ対策や資産管理もじっくり研究しようかなあと考えています。年金暮らしになっても結果的に仕事に行かなくなるだけ=毎日が「無給」休暇でしょうか。ではまた
はしQさん、コメントありがとうございます。
物価は確かに上がっていますが、給料は全然追いついてないですからね。
買えない物は売れないから、早晩どこかで物価は上げ止まると思っているのですが、意外としぶといですね。
需給で上がっているというより、便乗値上げ感が凄いですけど・・・
こんばんは仙堂です。
記事読まさせていただきました。
8000万円を8年で溶かしてしまったおっさんですね。
退職するまで資産運用をしたことが無いおっさんだな。
8000万円を5%で運用して、物価上昇率2%と考え、3%で生活するなら、年240万円、月20万円、というような基本中の基本の試算を、考えたこともなかったんだろうな。
銀行員も言ってたけど、預金利率はインフレ率より少ないから預貯金は目減りするのが避けられないことを、わかってるのかな?
失われた30年、デフレの時代しか経験してないおっさん、これから世界標準のインフレの時代に否応なしに突入する日本の社会に対応するためにも、しっかりと考えないといけませんね。
仙堂智隆さん、コメントありがとうございます。
記事のケースでは運用してないでしょうね。
FIRE後にコスパ最悪の外車に乗りながら、高級スーパー行くような人ですからね。
円安で物価高になる可能性は高そうなので、円資産ばかり持っていると資産が減る時代が来るかもしれませんね。