静かな退職は日本人の行動様式に近い
私は以前、Quiet Quittingがアメリカの若い人の間でブームになっているというニュースに触れて、日本では中年以降の世代の人間が、静かな退職をしているという記事をいくつか書いています。
私からすると、給料が上がらないのに若い時のように働き続けるなんてことが異常で、年を取るにつれて仕事の手を抜いていくことは、ただの合理的な行動でしかありません。
日本で中年世代以降に働かないおじさん、おばさんが居るのは合理的な行動の結果です。
日本の場合、飲食店やサービス業で不味かったり、サービスが悪かったりしても直接店の人間に文句を言ったりしない人が多いと思います。
ただその店には2度と行かなかったり、店から出た後「あの店不味かったな。」と文句を言ったり、SNSにネガティブなレビューをする人が多いでしょう。
そんな日本人の行動と、何も言わないけど、ただただ仕事の手を抜く静かな退職の行動は、日本人の行動様式に近いと思います。
今日は静かな退職ではなく、別の退職の行動が出てきたというニュースを見たので、そのお話をしようと思います。
日本は静かな退職と騒がしい退職のハイブリッド型かも
静かな退職は、一見分からない行動です。
何年も一緒に仕事をしていれば、「あれ?アイツのパフォーマンス急に落ちたな。」と思えると思いますが、最低限の仕事をしているので直接文句は言いづらいです。
本人が意識的に会社への抵抗活動として行っているのか、無意識にやっているのかにもよりますが経営者からすれば、眉をひそめてしまう行動でしょう。
今回見たのは静かな退職のような大人しい活動ではなく、「騒がしい退職」というものです。
Loud Quittingと言うそうですが、静かな退職とは異なり、周囲に辞める辞めると知らせて、上司にも即刻退職すると伝えたりするそうです。
静かな退職は一見分からないように会社にダメージを与えますが、騒がしい退職はもっと直接的です。
何しろ上司だけに辞めると言って退職するのではなく、周囲の同僚に辞めると言って辞めるのですから、周囲のモチベーションもダダ下がりでしょう。
通常辞めるという話をする場合は、辞める理由もセットで話すはずなので、周囲の同僚も同じ状況の可能性が高いです。
もしかしたら同僚も気付いていなかった会社のダメなところを、大声で騒ぎ立てて辞めることになるので、残った同僚のモチベーションも下がるでしょうね。
周囲に辞める辞めると騒ぎ立てて辞めるくらいならともかく、騒がしい退職は予告なしに退職したり、SNSにネガティブコメントを付けたり、仕事を拒否したり、破壊的な行動に出たりするそうです。
見た感じ日本では流行らなさそうです。
直接文句を言ったり、振られた仕事を断ったり、直接何か壊したりなんて行動をとる人が多いようには思えません。
ただ、辞めはしないけど「辞めてーな」と周囲に会社の愚痴を零しつつ、何だかんだと仕事を辞めない「働かないおじさん」は結構いっぱい居ます。
そう考えると、同僚には騒がしい退職をしつつ、経営者には静かな退職をしているハイブリッド型の退職行動を取っているのが日本の労働者です。
大騒ぎしておいて結局辞めないで、かつ働くパフォーマンスは低いというのは一番タチが悪い気がしますが、日本の低成長はこういった部分にもあるのかもしれませんね。
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