3年前に話したことをニュースで思い出す
今から3年前くらいに、東京証券取引所の取引時間が30分延びる話が本決まりになりそうという記事を書きましたが、最近ブルームバーグでもこのニュースが取り上げられていたので、そういや今年の11月5日から15時30分まで延長されることを思い出しました。
次期売買システム「アローヘッド4.0」の稼働に伴い現物株の取引時間を現在の15時から15時30分まで延長し、最後の5分間は大引けでの売買執行をより円滑にするため、クロージング・オークションを導入するという話です。
以前、この話が決まった時には30分程度延びたところで主要な海外の株式市場の取引時間に被らないのであまり意味がないという話をしていましたが、3年経って考えが変わったのか、それとも変わらないのかお話しようと思います。
取引終了5分前から始まるクロージング・オークションって何ぞや
この件が最終決定されたのは2023年9月のことです。
3年前に記事を書いた際は、30分延びるだけでしたがそこからクロージング・オークションが追加されています。
クロージング・オークションって何ぞやという話をする必要がありますね。
クロージング・オークションとは、証券取引所の取引終了時に行われる特別な取引方式です。
今回11月5日から導入されるクロージング・オークションは15時25分から15時30分の5分間をクロージング・オークションとして設定する予定です。
大引けの板寄せを行う前に、注文受付時間(プレ・クロージング)が5分間設けられます。
この5分の間に以下の取引が行われます。
- 注文受付:
- 新規注文の受付
- 既存注文の変更や取消し
- 引け条件付注文の処理:
- 立会終了後に発注された引け条件付注文が板に登録される
- 不成注文(ザラバ取引中に約定しなかった指値注文の引け成行注文)も板に登録される
- 板状況の配信:
- 寄り付き前と同様に、板状況が配信される
- 同時呼値注文の扱い:
- この時間に板登録された注文は、同時呼値注文として扱われる
- 価格規制チェック:
- 引け条件付空売り指値注文の価格規制チェックが行われる
- 不適切な取引形態の監視:
- 予想対当値段に影響を与えるような注文値段の変更や取消しを防止するための監視が行われる
プレ・クロージングによって、終値の予見可能性が向上するなど終値形成における透明性向上が期待されると謳っていますが、基本的には機関投資家向けの仕組みです。
個人投資家の投資戦略的にはあまり影響がないけど、覚悟はしとけ
機関投資家の場合、大量の注文を一度に処理できるため、大口取引を行いやすくなります。
というより導入目的の8割がたがこの理由でしょう。
残りの2割は、個人投資家も板情報が見れるので、終値の予想がしやすくはなります。
終値の予見がしやすくなるので、投資戦略は立てやすくなるでしょう。
総合的に考えて、機関投資家の方がメリットが大きいです。
ですが、機関投資家が相場を荒らすのは日常茶飯事なので、クロージング・オークション中に暴れればそれが一目で分かるというのはメリットですね。
正直FIREを目指す人には何の影響もないでしょう。
何しろ社畜だから15時クローズだろうが、15時30分クローズだろうが、どの道取引に参加していないでしょうし、そもそも1日の値動きでどうにかなるような投資戦略を取らないでしょう。
個人投資家の投資戦略は時間を味方に付けるのが基本戦略です。
機関投資家と喧嘩するデイトレーダーには大きな影響があるでしょうが、長期投資を前提にしたFIREを目指す人や、社畜投資家にはダメージゼロですね。
ただ1日の値動きが大きくなる可能性はあるので、チキンな投資家は今のうちから動揺しないように覚悟を決めるなり、持ち株を整理するなりしておいた方が良いかもしれません。
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