FUNDINNO MARKETって何だ
12月9日からFUNDINNO MARKETというものができるというニュースがありました。
FUNDINNOは未上場の会社へ投資するサービスで、未上場の株式を購入できたり、新株予約権が購入できるのが特徴です。
私も2017年から登録していて、何社か投資をしています。
既にサービス開始から4年が経過していますが、私が知る限り一般の株式市場(東証一部、東証二部、マザーズ、ジャスダック)に上場した会社はありません。
上場したケースもあったようですが、一般の株式市場ではなく、東京プロマーケットへの上場でした。
12月9日時点で、成立した投資募集案件は220件
同じ会社が第2回、第3回と何度か募集をかけたこともあるため、実際の会社数は200社前後だと思います。一般の投資家から200社が資金を集めて、未だ上場している会社がないという状況です。
逆に事業が上手くいかず廃業して解散する会社はありますので、現状ではメリットよりデメリットの方が大きいのかなというのが、FUNDINNOに対する私の印象です。
何を目的にしてFUNDINNOで取引するのか。
FUNDINNOでは多くの会社が事業を回すための資金を求めて募集を行っています。
取引は好調のようで、募集をかけると1日で募集した金額を満たして成立する案件が多い印象です。
FUNDINNOのホームページ上でも最速目標金額達成時間が記載されていますが、1分54秒で募集した目標金額を集めた企業もあるようです。
金融緩和が続いて、金余りの状況のため投資先を求める人が多いのか面白そうな案件があると、募集が開始したその日中に予定金額を集めてしまう案件が多いです。
ここでいう「面白そう」は「上場しそう」と言い換えても良いと思います。
FUNDINNOへ投資する投資家が求めているのは未上場の株式が上場して上場した株式を売却した時の売却益を目的としている人が多いと思います。
一応お題目として、「ベンチャー企業を応援する。」というものがありますが、普通の投資家からすると見ず知らずの人が作った会社に純粋な応援目的で投資することは無いと思います。
あくまで、「上場を目指していて、実際に上場できそうな会社に投資する。そして、上場後に投資した金額より遥かに大きい金額で売り抜けることで利益を得たい。」というのが普通の投資家の考えかなと思います。
FUNDINNO MARKETで売買が成立するのか。
そんな訳で投資家の目的はあくまで「お金を増やすこと」です。
そうなると、FUNDINNOへの投資はデメリットがあります。
それは、「一度FUNDINNOで企業に投資してしまうと、投資した資金は完全に拘束されてしまう」ということです。
資金が完全に拘束されてしまうという意味は、FUNDINNOで投資すると持っている株式が自由に売買できないということです。
未上場なスタートアップの会社が殆どですので、配当が出る会社もありませんし市場が存在しないので、株価が上昇すると言ったこともありません。
株式を売るのにも持ち株会社への許可が必要ですし、上場していないので「その会社の株式を買いたい」という人を探すことも難しいです。
そんな訳で、一度投資してしまうと「資金は完全に拘束」されます。
投資家の目的はお金を増やすことであることから、「配当も出ない」、「株価も上がってるか分からない」では非常に投資しにくい訳です。
私も何社かFUNDINNOを使って投資しましたが、数社で投資をストップしました。
「損切」も「利益確定」もできない「完全に拘束された資金」がこれ以上増えるのを嫌ったためです。
そんな中で、FUNDINNO MARKETが登場しました。
FUNDINNO MARKETの目的は未上場株式を取引する場を提供するのが主な目的です。
投資家間の未上場株の取引をFUNDINNOが仲介するイメージです。
FUNDINNO MARKETによって、投資家の懸念になっていた資金が完全に拘束されることは無くなりそうです。
「取引が成立するほど流動性が高ければ」ですけど。
FUNDINNO MARKETの問題点
現状FUNDINNO MARKETには問題点が存在します。
それは以下の点です。
- 参加企業が少ない
- 手数料が高い
- 情報が無い
参加企業が少ない
1番目の参加企業が少ないという点は見たままです。
12月9日のサービス開始時点で4社しか参加していません。
200社程度募集しているのに4社しか参加していません。
せめて50社くらいは参加するのを確認してからサービス開始しても良さそうなもんですが、現状4社だけです。
この4社に資金投資した投資家だけ持っている未上場株式を売却できる可能性があります。
※12月22日まで売却はできないようです。
手数料が高い
2番目の問題点は手数料が高いという点です。
手数料は2つ存在して、1つがFUNDINNO MARKETに参加しているだけで取られる「会費」と「売買手数料」です。
12月9日時点の情報で手数料は以下のようになっています。
売買手数料が売買代金の5.5%というのも高いです。
これに加えて、譲渡益に対して20.315%の税金も取られるので負担感はかなりのものです。
この手数料では、募集時に投資した金額よりかなり高値を出さなければ売却は行われないでしょう。
そして最大の問題点は、サービスを利用しているだけで月額1100円も取られることです。
特に売る気も買う気も無いけど、とりあえずFUNDINNO MARKETに登録しておいて価格を確認することができませんので、売買手数料を5.5%も取るならせめて会費は無料でないと利用者が増えないと思います。
3カ月無料みたいですので、3カ月間だけ登録しておいてどんな感じか確認することは出来ると思います。
できると思いますが、退会手続きが超面倒くさそうです。
FUNDINNO MARKETから退会するには、お客様ご自身でマイページより退会手続きを行っていただく必要があります。退会する際、お客様は、参加していた全ての銘柄毎に対して脱退の申請を行っていただきます。
FUNDINNOホームページから引用
参加していた全ての銘柄について脱退の申請を行っていただくまで当社サービスから退会できません。
退会した場合、退会前に出していたすべての銘柄の注文問い合わせ及びマッチングしていない売買注文が取消しとなります。
なお、退会した場合、退会を行った月の翌月末まで、再度当社サービスへの入会を行うことができません。退会を行った月の翌々月以降、マイページ等から再度当社サービスへの入会手続きを行うことができます。
”退会する際は、参加した全ての銘柄に対して退会の申請を行う”とあります。
現在4銘柄が登録されていて、全ての会社を登録したら4社に対して退会の申請を行うということになります。取引先が増えて50社、100社になって全部登録したら50社、100社全部退会申請しないといけなくなります。
これほど面倒な手続きがあると、とりあえず参加している企業は全部登録しておいて通常の株式相場のように株価を俯瞰的に見て、値上がりしている株を購入、売却するという風には使えなさそうです。
終わりに
FUNDINNO MARKETのサービスが開始されたというお話でした。
私としては参加している会社が少ないのと、相場を確認するだけで手数料を取られるのは勘弁ということで使用する予定は現状ありません。
せめて利用手数料くらいは無料にしてもらえれば、とりあえず登録だけしておきたいですが年間1万1000円もかかるなら、もう少し様子見したいと思います。
持ち株が10倍で売れるとかなら、参加して持株会社だけ登録して売却するんですが、どういう相場が形成されていくかも現状では分からないので、その点でも様子見になってしまいますね。
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