格付けは据え置き
ロイターニュースで「日本の格付けを「A」で据え置き、見通しネガティブ」というニュースが出ていました。
日本の政府債務が、対国内総生産(GDP)比で2019年の231.2%から254.8%に上昇したことと、経済はプラス成長、金融緩和政策の継続で低利回りが続くことを総合的に判定して、Aのままとしたようです。
格付けとは何か。
格付けは格付け会社が評価する評価指標です。
格付け会社(格付け機関)とは国債や社債の利払いや償還能力について、財務調査などを通して評価する会社のことで、ここに記載したのが米国系のムーディーズとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、欧州系のフィッチ・レーティングス(フィッチ)が世界的に有名な格付け会社となります。国内ですと格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)などがあります。
信用格付けの格付け区分は会社によって異なります。
主な格付け会社の格付け区分のうち、日本の格付けは以下の様になっています。(赤字は日本の格付け区分)
フィッチ | ムーディーズ | S&P | ||
AAA | AAA | Aaa | AAA | |
AA | AA+ | Aa1 | AA+ | |
AA | Aa2 | AA | ||
AA- | Aa3 | AA- | ||
A | A+ | A1 | A+ | |
A | A2 | A | ||
A- | A3 | A- | ||
BBB | BBB+ | Baa1 | BBB+ | |
BBB | Baa2 | BBB | ||
BBB- | Baa3 | BBB- | ここまでが投資適格の等級 | |
BB | BB+ | Ba1 | BB+ | ここ以下は投機的な等級 |
BB | Ba2 | BB | ||
BB- | Ba3 | BB- | ||
B | B+ | B1 | B+ | |
B | B2 | B | ||
B- | B3 | B- | ||
CCC | CCC+ | Caa1 | CCC+ | |
CCC | Caa2 | CCC | ||
CCC- | Caa3 | CCC- | ||
CC | Ca | CC | ||
C | C | C | ||
D | – | D |
一般的にBまでは債務を履行する能力はあると見られます。
CCC以下はデフォルトの可能性が高いと見られます。
日本の格付けのA、もしくはA+だと、信用力は高く優れていると判定されています。
AAAとAAの差は小さいですが、AAとAでは意外と差が大きく、Aでは経済状況の悪化の影響をやや受けやすいという判定となります。
BB以下では一般的には投資適格に無いということでジャンク債とよばれます。
ここまで下がってしまうと、世界中のファンドが持っている投資適格に無い日本国債を売ることになると思いますので、国債の金利が上昇することが想定されます。
今すぐどうこうということは無いと思いますが、日本の政府債務が対GDP比250%以上とかかなり尋常じゃない水準なので、格付けが今後ジャンク級まで下げられる可能性は十分にあると考えています。
格付け据え置きでも10年国債の金利が上昇している。
フィッチの格付けが原因かは分かりませんが、最近日本国債の金利が上昇してきています。
(株式市場が好調なので、債券が売られているからだと思いますが)
元々、金利は0に限りなく近いうえ、アメリカ国債の金利も上昇しているため、株式投資に対する日本国債の金利の影響は少ないと思います。
ですが、このニュースを見た後、日本国債の10年金利を確認したんですが、数値で見ると20.77%の上昇でしたのでちょっとびっくりしました。
終わりに
私は、国債の長期金利が上昇し始めた場合、既に日銀の金融政策では打てる手がほとんどないため、金利が上昇に歯止めがかからず上昇し続ける可能性があると思っています。
その際、株式市場も為替相場も混乱すると思いますので、投資をされている方は長期金利を確認しておいた方が良いと思います。
また、住宅ローンの金利も長期金利と関連しているため、国債の金利が上昇すると、住宅ローンの変動金利も上昇するので、投資をしていない方でも住宅ローンを変動金利で借り入れしている方は、気にしておいた方が良いかと思います。
住宅ローンを借りている場合は変動金利より、固定金利の方が良いと思います。
借入期間が何十年と長いですし、借入期間内に格付けがジャンク級落ちすることで金利が急上昇する可能性があります。
金利上昇局面で、変動金利から固定金利への借り換えがすんなりいくとも思えないので、多少支払額が増えても最初から固定金利で借りた方が精神衛生上良いと思います。
私の意見を記載したものですので、実際の投資は自己責任で行ってください。
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