日本経済新聞の1月20日の記事に「ジョブ型を甘くみるな 人事・組織、根本から見直しを」という記事がありました。
ジョブ型雇用とは、職務内容を明確にして職務能力にあった能力がある人材を起用する欧米型の雇用です。ちゃんと機能すれば、年齢に関係なく有能であるほど待遇が良いポストにつける可能性がありますが、そんな上手くいくかなと思ったので記事にしてみようと思いました。
経団連は何と言っているか
春季労使交渉の企業向け指針でジョブ型雇用制度の積極的な導入を呼び掛けています。
同じく経団連のホームページ上に「2020年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」という資料もアップロードされています。
資料内では、ジョブ型雇用は35%の企業で導入済みで、17%が導入予定のようです。
経団連発表の情報なので経団連の会員企業の回答結果の集計です。
経団連の会員企業と言えば大企業ばかりですので、ここで100%近く導入されないと、中小企業にまで導入が進むことは恐らくないでしょう。
さらに資料内にジョブ型の導入をしていない理由も記載されていました。
何だか色々言っていますが、恐らく職務記述書の作成が出来ないからジョブ型雇用が出来ないんだと思います。職務を明確化できないから当然、職務記述書が作成できないというわけで、大企業がこの様です。
中小企業では作業の分化が進んでいないので、人員的にもさらに難しいでしょうね。
ジョブ型雇用がうまくいかないだろうと思う理由について
経団連もぶっちゃけてますが、職務記述書がまともに作れないであろうというのが理由です。
現在導入済みの会社についてもきちんとした職務記述書が作成されているかかなり怪しいものです。
職務記述書にはポジション名、職務の目的、職務の責任、職務内容と範囲、求められるスキル等を記載します。
ポジション名とか、職務の目的、求められるスキル辺りは作成できると思います。
ですが、職務の責任と職務内容と範囲についてはきちんと明確な形で記載されている企業は少ないのではないでしょうか。
恐らく○○に関する業務とかフワッとした内容が記載されていると思います。
この職務記述書を作業負担が偏らないように割り振りして、責任範囲に穴が無いようにきっちり作成できるのかがかなり怪しいです。
職務内容について人事は把握していないでしょうから、恐らく現場の職員が作成することになります。
しかし、職務内容を十全に把握しているような職員は優秀な社員である場合が多いので、クソ忙しくて職務記述書を作成する余力は無いと思われます。
その結果、良く分かっていない職員が作成した、曖昧な内容の職務記述書が大量生産されて、職場が混乱すると思います。
もしくは曖昧な責任範囲と職務範囲で仕事をする「なんちゃってジョブ型雇用」になるのではないでしょうか。職務範囲も責任範囲も曖昧なので、結局チームワークだの仲間だのと、メンバーシップを押し付けてきて、手の空いている人間(もしくは押し付けやすい性格の人間)に作業を押し付けるでしょう。
自分の職務範囲じゃないからと断れないジョブ型雇用なんてクソ程の価値もありません。
また、これまでの年功序列でサラリーマン生活していた社員は当然反発すると思います。
若手で抜擢された優秀な人材を、上手くいかないように関連部署に根回ししたり、サボって作業を遅らせたりして、あの手この手で引きずり落そうとするでしょう。
男の嫉妬は怖いですし、これまで安月給で我慢してきてそろそろ昇給だと思っていたおっさん連中は急に梯子を外されることになるので、誰かに八つ当たりするでしょう。
その誰かに丁度良いのが、抜擢された若手というところでしょうか。
という訳で、私はジョブ型雇用はうまくいかないと思います。
後数年でリタイアする予定なのでそういう面倒なことは、私が辞めた後にやってほしいと言うのが本音です。
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