意外と条件的に難しい年金の全額免除
社畜を辞めてアーリーリタイアすると厚生年金の呪縛からは逃れられますが、国民年金の支払い義務は残ります。
私はアーリーリタイア後も国民年金は支払う前提で考えていましたが、支払いが厳しくなったら全額免除を使おうかなと軽く考えていました。
無い袖は振れないという奴です。(実際は資産はあるので払えなくもないけど・・)
他のリタイア後の人は結構全額免除を使って国民年金の支払いを免除している人が居るので、資産がいくらあっても、収入がなければ簡単に全額免除にできると思っていたのですが、そんなに簡単に全額免除を勝ち取れなさそうなことに気付いたので、今回はこの件について話をしようと思います。
気になる国民年金の納付猶予制度の記述
なんで国民年金の免除制度を簡単に使え無さそうと思ったのかという理由ですが、まず最初に年金の保険料免除、保険料納付猶予制度について何となく調べていた時に、50歳未満が猶予制度の対象となる。という記述を見つけたことです。
20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。
日本年金機構HPから引用
※平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象となります。
ん?猶予制度は50歳までだったら、50歳以降はどうするんだろうと思ったところがスタートです。
確認する限り、保険料納付猶予制度だけ50歳までで、保険料免除制度は特に年齢的な縛りはありませんでした。
そもそも払う気が無ければ猶予制度はあまり関係ないので、保険料免除制度が50歳以降も使えることが確認できればとりあえず安心です。
保険料免除制度の制約について
保険料免除制度については50歳以降も使えることが確認できましたが、どういった状態なら国民年金の免除が得られるんでしょうか。
せっかく調べたので、保険料免除の条件についてもう少し調べてみようと思います。
納付免除を受けるためには、次のような要件を満たす必要があります。
- 本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下であること。
- 本人・配偶者・世帯主の現在の所得が一定額以下であること。
- 本人・配偶者・世帯主の財産が一定額以下であること。
- 本人・配偶者・世帯主が公的年金制度に加入していないこと。
一定以下という表現が多く出てきますが、一定以下ってどの程度のことを言うんでしょう。
一応日本年金機構のHPに基準額が示されています。
- 全額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 - 4分の3免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 - 半額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 - 4分の1免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 - 納付猶予制度
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
独身で全額免除を受けるためには、67万円しかないので資産をある程度以上作ってFIREした場合、配当だけでこの基準を超えてしまうでしょう。
また、財産が一定額以下であることも要件になっています。
財産ってどこまでが財産なのかと思いましたが、以下のものを財産とするようです。
- 現金、預貯金、有価証券、保険金、年金積立金などの金銭的財産
- 家屋、土地、自動車、船舶、貴金属などの有形財産
- 特許権、商標権、著作権などの無形財産
これらの財産の合計額が一定額以下であることが必要なようです。
基準額も確認してみましたが、扶養家族の人数で変わるようです。
独身の場合は全額免除で100万円のようです。
扶養家族が1人増える度に+50万円づつ増えていくようですが、どちらにしてもFIREするほど資産を作っている人からすれば貯金だけでも100万円以上あるでしょうから、早々全額免除は使え無さそうです。
また、4分の1免除の場合でもたかだか250万円程度なので、全額免除どころか4分の1免除も難しそうです。
リタイアブログで良く見る免除はおそらくこれ
リタイアブログで良く見る年金免除したという記述は失業等による特例免除について記載しているような気がします。
失業した場合も申請することにより、保険料の納付が免除となったり、保険料の納付が猶予となる場合があります。免除・納付猶予申請書を提出される際は、次の書類が必要です。(申請は毎年必要です。)
日本年金機構HP 失業等による特例免除から引用
なお、過去に同一の失業・倒産・事業の廃止などの理由により免除等を申請し、失業した事実が確認できる書類を添付したことがある場合は、あらためて添付する必要はありません。
失職後1年間しか使えませんが、特例免除は、申請者本人の前年所得を0円として審査してくれるという制度です。つまりFIREした後でも使えそうです。
ただ・・財産についての条件はあるのでどうやってFIREした人は国民年金の免除をゲットしているのか不思議です。
財産についてはチェックしないで、流れ作業でそのまま承認しているのか。
源徴ありの口座を使っていて、確定申告していないから証券口座を把握されていないからなのか。
なぜ、資産が数千万円~数億円あっても全額免除を受けられるか疑問ではあります。
ただFIREするような資産がある人は、まず年金の免除や減免は受けられないと考えて、固定費に年金分の金額(令和5年度16,520円)を支払う前提でFIREの計画を立てた方が良いでしょうね。
免除申請については通ったらラッキーくらいに考えておいた方が良いかもしれません。
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