不安を煽りたいのか、お前には無理だと言っているのか誰得なシミュレーションを見る。
会社から解放される「早期退職」実現のための「貯蓄額」…30代・40代・50代でシミュレーションという記事を見ました。
この手の記事は往々にしてあまり参考になりません。
何しろ毎月いくらの支出があるのか、独身か、結婚しているのか、親の面倒を見る必要があるのか、持ち家なのか賃貸なのか、家賃はいくらか、持病はあるのか等々・・人によって条件が全く異なるためです。
参考にはならないと思いつつ、ついつい見てしまいますけど。
この手の記事では、総務省の家計調査報告から夫婦の平均的な生活費が幾らで、それに100歳までとか平均寿命までの年数をかけて生活費が何億円です。と言って終わるパターンが多いです。
この記事も例に漏れず、その計算で30歳でリタイアすると約1億7,728万円かかりますといったシミュレーションをしています。ちなみに40歳で1億4,524万円、50歳で1億1,319万円らしいですよ。
セミリタイアを考えている人からすると、そんな訳ないだろうという感想を持つと思います。
せめて年金支給後は年金分くらい生活費から差し引いて計算してくれれば良いんですが、この記事では考えていないようです。
まぁアーリーリタイアなんて考えたことが無い人が書いた記事だなぁと思います。
リタイアのメリットに自己投資を書いているのも謎です。
リタイアしたら糞の役にも立たないことを毎日やっても良いんです。
もう働かないんだし自己投資なぞ不要です。
何か役に立ちそうなことをやりたければやれば良いし、お弁当に何粒米粒が入っているかを数えても良いのです。
どれくらい資産が必要か。もう少し真面目に考えてみる。
セミリタイアを考えている私から見ると、50歳で1億なんて不要だと思いますが、30歳、40歳、50歳でそれぞれいくら必要か、もうちょっと真面目に考えてみようと思います。
私個人の場合について記事にしても参考にならないと思いますので、もうちょっと一般化して考えようと思います。
条件は夫婦二人世帯は他にもありそうなので、単身世帯で考えます。
寿命は記事のシミュレーション条件と同じ88歳まで生存、生活費は総務省の家計調査報告の単身世帯(リタイア後は単身無職世帯)の生活費で計算しようと思います。
また、リタイアして働かない前提であるため所得税、住民税は0円、国民年金は支払い免除を受ける前提として、国民健康保険料のみ支払う前提にします。
国民健康保険料は自治体によって異なりますが、収入は0円と考えてざっくり年間5万円で計算します。75歳以降は後期高齢者医療制度に変わるので1万5,000円で計算します。
年間支出額で計算で使用する家計調査報告は2021年版を使用します。
年金については、公的年金受給額シミュレーションを使用します。(平均標準報酬額は30歳は30万円、40歳は40万円、50歳は50万円で計算します。)
30歳の場合
30歳から65歳の生活費: 月171,593円(単身世帯の消費支出)
171,593×12×36=74,128,176円
65歳から88歳の生活費: 月134,478円(単身無職世帯の消費支出)
65歳からの年金額: 年額933,000円
{(134,478×12)-933,000}×23=15,656,928円
税金・社会保険料: 年額50,000円
(50,000×46)+(15,000×13)=2,495,000円
74,128,176円+15,656,928円+2,495,000円=92,280,104円
結果は約9300万円でした。流石に30歳だと1億近く必要なようです。
40歳の場合
40歳から65歳の生活費: 月171,593円(単身世帯の消費支出)
171,593×12×26=53,537,016円
65歳から88歳の生活費: 月134,478円(単身無職世帯の消費支出)
65歳からの年金額: 年額1,247,100円
{(134,478×12)-,1,247,100}×23=8,432,628円
税金・社会保険料: 年額50,000円
(50,000×36)+(15,000×13)=1,995,000円
53,537,016円+8,432,628円+1,995,000円=63,964,644円
40歳になると3000万円近く下がって約6,400万円必要なようです。
50歳の場合
50歳から65歳の生活費: 月171,593円(単身世帯の消費支出)
171,593×12×16=32,945,856円
65歳から88歳の生活費: 月134,478円(単身無職世帯の消費支出)
65歳からの年金額: 年額1,692,700円
{(134,478×12)-,1,692,700}×23=-1,816,172円
税金・社会保険料: 年額50,000円
(50,000×26)+(15,000×13)=1,495,000円
32,945,856円-1,816,172円+1,495,000円=32,624,684円
50歳になると年金支給開始から収支がプラスに転じて、約3,300万円まで必要な額が下がります。
終わりに
10年間社畜をしてリタイアを後ろ倒しすると、リタイアに必要な費用が大体3,000万程度下がることが分かりました。
とは言え、標準報酬額が順調に上がる前提で計算したので、給料据え置きの場合は年金の減額分もう少し必要額は増えます。
また、この計算結果の元になっている消費支出は住居費が入っていないので、持ち家の人は修繕費と固定資産税、賃貸の人は家賃と更新料がそれぞれプラスされます。
さらに大病をした際の医療費も考慮されていないので、心配な人はさらにプラスして考えていただければと思います。
セミリタイアを目指す人から見ても、意外と違和感が無い結果になったのではないでしょうか。
この額に足りなければ、バイト等で多少稼いで支出から差し引くことで更に金額を減らすことができるので、試行錯誤してみることをお勧めします。
リタイアも十人十色で人によってかなり異なるので、参考程度に考えてください。
コメント
家の解体費とかもバカにならんと思う。甥や姪に迷惑を掛けたくなければ
dedsさん、コメントありがとうございます。
確かに地方だと土地の値段より解体費の方が高かったりしますね。
土地は売りたくても売れない。
永遠に子孫が面倒を見ていくしかない。
その場合は相続放棄するしか無いですね。
更地にしても遺産が残るなら、二束三文で売るという手もあると思うけど。