私が投資を始めた頃のお話
私が投資を始めた当初は、「社畜なんて1秒でも早くリタイアしてやる。」といった大それたことは考えていませんでした。
アーリーリタイアという言葉自体はありましたが、誰でも知っているというほど有名だったわけでもありませんし、一部の金持ちだけが実行できるかなりハードルの高いものでした。
投資を始めた理由も、特に使い道の無いお金が銀行口座に貯まっていたので、このまま銀行に入っていても金利が付かないから運用しようという程度のものでした。
既にそこから15年程度経過していますが、目的はリタイアに変われど未だに投資を続けています。
私が投資を始めた20代の頃は、今のようにスマホで投資は完結といったお手軽さや、アメリカ株でも中国株でもベトナム株でも買えちゃうよといった投資対象国の多彩さもありませんでした。
流石に電話をかけて取引注文を出すといったアナログな手段だけではなく、ネット取引も使える時代でしたが、株式投資といえば日本株しかなく、その日本株も最低1,000株単位でしか買えないものが殆どでした。
何故か100株単位や、500株単位、2,000株単位と会社によって1単元の株数が違うといったカオスな感じでしたが、どの会社も大体1,000株単位でした。
1単元1,000株となると、買い付けるにもまとまったお金が必要という状態だったので、この株買いたいと思ってもお金が足りなくて買えないという機会損失がありました。
今は100株1単元に統一されていますが、100株単位でも資金的に厳しいという投資初心者は多いのではないでしょうか。
例えばユニクロのファーストリテイリング社は1株35,000円くらいする上、100株単位での取引になるので、投資しようと思っても最低350万円ほど必要になります。
資金力が無い投資家に350万円を準備するのは難易度が高いでしょうね。
今は日本株でも1株単位で買える証券会社もあるので、単元未満株の取引きもできますが、アメリカは1単元1株での取引が普通なので、もう少し待っていれば日本も100株1単元から、1株1単元になる日も近いかもしれません。
そうなると、今度は「昔は1単元100株単位だったので、お金が無いと個別株に投資できなかった。」という人も出てくるかもしれませんね。
異世界に迷い込んだかのような投資する理由を見る。
こんな話を始めたのは、昔はお金が無いと大変だったという話がしたい訳ではなく、以下のような記事を見たからです。
株式投資の目的は「FIRE」「老後資金」かといった記事です。
Z世代の株式投資に取り組む理由を確認している記事なんですが、20代、30代で最も多く選ばれた理由が「生活に使えるお金を増やすため」だったんですよね。
しかも59%でぶっちぎり1位です。
結構あり得ない不思議な理由です。
70代、80代で投資の取り崩しを始めている世代なら理解できるんですが、20代、30代がチョイスする理由ではありません。
次に多かった「老後資金を増やすため」に投資を行うというのは理由としては良く分かります。
20代、30代ならリタイアまで40年はあるので、投資で老後資金を作るのは最善手でしょう。
投資は投資した金額を大きくしていくゲームですが、複利の効果というものが最も強いカードになります。
多くの投資家にとって最も勝てる可能性が高いのが、世界は右肩上がりに成長していくので、その成長に乗っかって時間をかけて資産を増やしていく。というルールで戦うことです。
値上がり益や、配当益を再投資し続けることで複利効果は最大化されますが、大前提として「最低年単位の時間をかける」というのが大原則です。
年単位といっても1年、2年では殆ど効果がありませんし、株価が軟調なら損失が出る可能性もあります。
最低10年くらいは回すのが「最も再現性高く儲かる投資」なんですが・・
投資する理由が、生活に使えるお金を増やすためって、投資の原則から外れ過ぎています。
趣味や旅行に使うは、たまたま儲かった時に使うとも考えられるので、理解できるんですが生活費のために投資をするのは「かなりヤバい」理由です。
投資は余剰金でやるのが基本、例外はない。
たまに並外れた投資家が居て、100万円を一気に億まで育てたりすることがありますが、並みの投資家が同じことをしても9割がた退場することになるでしょう。
そもそも投資は生活余剰金でやるのが基本です。
このお金が無いと今月生活できないなんて金を投資に回してしまっては、正常な判断は難しいです。
そのため、今の生活に使うために投資するなんて言うのは意味不明な理由です。
普通に損失を出して、更に生活が困窮しそうです。
「お金を気にすることなく食事をしたい」(29歳、男性)
「生活に使えるお金を増やすため」と回答した人の自由回答から抜粋
「自分の給料だけでは買えないブランドものなどを買うこと」(26歳、女性)
「グレードアップした生活」(25歳、女性)
「安定した収入を得て、生活を豊かにしたいから」(26歳、男性)
「日々の生活を楽にしたい」(35歳、女性)
「月々の電気代やガス代くらいを、配当で払えるようになりたい」(37歳、女性)
「値段を気にせずに果物とか買えるようになりたい」(33歳、女性)
生活費を増やしたい理由もかなり即物的です。
見る限り投資で何とかしようと考えるより、給料を上げたり、副業でも始めて収入を上げる方が余程賢い選択になる気がします。
投資の勉強に時間を使うより、仕事で昇給できるように時間使った方が良いでしょうね。
そもそも投資を続ければ、生活はグレードアップどころかグレードダウンします。
生活費を切り詰めて、投資に回すお金を増やそうと考えるからです。
考えられないようなら、そもそも投資家向きではありません。
大人しく馬車馬のように働きましょう。
生活のグレードを上げたいなら、収入を増やすのが普通の考え方です。
資本主義では収入の上昇→生活水準の上昇を推奨しています。
ブランドが~という人は特にそうでしょうね。
お金があったら消費か浪費に使いたいと考えるタイプです。
こういった人は、リスクなく定期的な収入が無いと生活が破綻するので、働くことからは逃れられないでしょう。
どの回答も投資家的な考え方ではありません。
この中でマトモな回答をしているのは、光熱費を配当益で払いたいと言っている人くらいでしょうか。
この人は投資を続けていけば、FIREする可能性がある考え方をしていると思います。
光熱費から始まって、家賃、通信費、食費と生活費を投資で賄えるようになるかもしれません。
別にFIREしたいという回答ではありませんが、投資でお金を増やしたいと考えるのであれば、FIREしたい人と考え方は近くなって行きます。
RE(早期退職)はその人の嗜好によりますが、FI(経済的自立)は、投資をするならどんな人でも考える必要があります。
投資でお金を増やしたいなら、生活費に使いたいなんて言ってないで、投資に回すために生活費を切り詰めたいと考えるべきでしょう。
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