FIREは1日にして成らず。
親が資産富豪だったり、宝くじ等で一発当てた以外でFIREした人や、FIREを目指している人なら誰しもが通る道というものがあります。
それは節制してできたお金を投資に回すという道です。
社畜の給料というのは、基本的にそれ程多い物ではありません。
日本では年1,000万円も貰えれば高給取り扱いですし、平均ではその半分もありません。
その左程多くはない収入からゴッソリと税金が引かれるため、社畜たちの財布には生かさず殺さず程度の金額しか手元に残りません。
そんな状況では節制して手元にお金を残すしかありません。
節約せずともお金が残る人でも、FIREに向けて動いていると結局1円でも多く投資したくなります。
結局、最終的には節制することになるので、収入の多寡に関わらず皆節制することになります。
手元に残ったお金をいかに散財せず、残ったお金を投資に回すという生活を延々と続けていくことでFIREすることになりますが、この道は長く険しいものとなります。
今日はそんな長く険しい道を往くFIREを目指す人々を、甘く見ている人のお話です。
言うは易く行うは難しを地で行く展開
FIREを目指す人を甘く見ていると思ったのは、「結婚しないFIRE願望の若者」が人手不足を“超加速”する? 大胆で緻密なリポートが話題という記事を見たからです。
この記事は労働力不足がさらに加速すると予想したレポートで、原因の1つにFIRE願望が労働力不足に拍車をかけると予想しています。
記事内では「子ども一人当たり3000万円とも言われる子育て費用がなくなることで『稼がなきゃいけない金額』や『消費行動』にも大きな違いが生じる」と推測しています。
これは同意できます。
子供ができなければ、人生の3大支出の1つ子育て費がかからないので3分の2の費用で生活できることになります。
当然、それに合わせた消費になるでしょう。
そして更に「労働にやりがいはない」「生活に必要なお金が貯まった時点で人は働かなくなる」と仮定しています。
これも8割がた同意できます。
労働にやりがいがないと言う点に関しては、社畜のやらされ労働にはやりがいなどないです。
社畜の労働は経営者と株主のために働いているのですから、そこにやりがいがある等と思うのは生粋の奴隷体質です。
やりがいが無いのは当たり前、生活に必要なお金が貯まったら人が働かなくなることについてもまずその通りです。
浪費家はそもそも「生活に必要なお金」を貯めることができません。
生活に必要なお金を貯めることができる=FIREできるということになります。
やりたくもなくて、特に必要もないことに時間を費やす人は多くないでしょうから、生活に必要なお金が貯まったら働かなくなるというのも分かります。
ただ、簡単に「生活に必要なお金が貯まった」と言っても、その達成のハードルは高いです。
願望だけでは実現しないということが分かっていない。
前提条件は概ね同意できるのですが、結論に関しては同意できません。
結論として語られたのが、2050年の労働力人口は、2020年比でマイナス1500万人強と推定されているけど、ここに「50歳以上の単身世帯のFIRE傾向が強まる」という設定を加えると、「単身世帯のFIREによる減少幅」と「単身世帯化による減少幅」の影響でさらに200万人の下押し効果が表れるというものでした。
この結論は如何なものでしょう。
何というか随分、人間を買いかぶった結論だと思うのは私だけでしょうか。
確かに子育て費用が無ければ、人生における支出額は減るでしょう。
これは良いです。
仕事にやりがいが無いのも良いでしょう。
ですが、FIRE願望があれば誰でもFIREできるという考え方は間違いです。
FIREというのはそんなに生易しくはありません。
この考え方からすれば、学生なら勉強するのが当たり前なんだからみんな東大に入学できているのが当たり前だよねと言っているのと変わりません。
FIREは誰でもできるといった類のものではありません。
目指すのは誰でもできますが、節制を続け、投資を続けて「働かなくても良いだけのお金」を得ることは誰もができることではありません。
なぜなら継続するハードルが高いのです。
FIREを目指してスタートしても、ある程度の資産ができて資産効果を実感できるまで続けられる人がそう多くありません。
毎月5万円の積み立てを続けている人が居たとして、4%で運用できたとしても利益は3年で11万円にしかなりません。
大部分の人は、「こんなに節約して頑張ったのに、3年でたった11万円しか増えない。」
やっても無駄だと止めてしまうでしょう。
30年以上続ければ、元本より投資利益の方が大きくなる可能性が高いことが分かっていても、始めてから数年程度では利益が小さいので、それに耐えて長く続けられる人は多くはありません。
そして、運用中に必ず訪れる暴落局面にも耐えられないでしょう。
最近の相場も荒れ相場ですが、投資金額が大きくなくて、経験の浅い人ほど相場急落時にパニックになって売ってしまいます。
急に増えないくせに、急に減るのでビビッてしまうんでしょうね。
こういった相場の急落時を乗り越えて投資を続けられる人もそう多くはないでしょう。
もちろん、相場環境以外にも様々な阻害要因があります。
こんなに資産が出来たんだから、豪華な旅行に行きたいとか、ブランド物が欲しいとか、豪華な家に住みたいとか、投資が上手くいったらいったで他の誘惑は多いです。
節制できていたとしても、急病や親の介護等の不意の出費があれば資産は減るし、毎月の投資もストップしてしまうでしょう。
こういった阻害要因をすべて跳ね除けて、ただ働かないという怠惰を目指せる人がどれだけ多いというのか。
きっと1割も居ないはずです。
始めることと続けることはイコールではありません。
始めても、途中で止めてしまう要素が多いのです。
FIRE願望がどれだけあったところで、それはFIRE達成可能ということではありません。
FIRE傾向がどれだけ強まったところで、きっと労働者はそれほど減らないでしょう。
人はそんなに我慢強くもないし、合理的でもないのです。
コメント
nekonabeさん おはようございます。昨日は酷く着弾して結構 甚大な被害を被っているはしQです。さて私が危惧するのはFIREを目指して、なんちゃってFIREをして、非正規雇用に転じて後悔だらけの人生を送る人が増えることです。あらゆる節制をして、何とか社畜をREしても、日本国民である以上はどんどん税金などが押し寄せますし、リスク資産は必ず暴落があります。また安定的な資産はインフレの前にはリスクを実は含んでいます。社畜はある意味で社畜である以上は定収がありますので、REするということはこれを手放すことになります。むしろ非正規が増えるのではと思います。
・・さて本日は回復しますかねえ・・ではまた
はしQさん、コメントありがとうございます。
今日は戻しましたね。
懸念で動いただけだからすぐに戻ります。
こういった株価の揺らぎで刈られてしまう程度のリスクの取り方だと、資産が最速で減りそうですね。
現物で、経営状況が問題無ければホールド一択なんですが、そこまでの握力が皆ないのでしょう。
リスク取り過ぎなんでしょうね。