コツコツ型のリタイア信奉者を敵に回す。
26歳でアーリーリタイアした人が、積立投資で経済的自由は得られないと断言している記事を見ました。
タイトルから煽られてる感がありますが、この記事について語っていこうと思います。
FIREを目指す人は、一般的に投資信託やETFへの積立投資でアーリーリタイアやセミリタイアを目指すものですが、これと真っ向から否定するタイトルです。
インデックス指数に連動する投資信託やETFへの積立投資は、比較的再現性の高いリタイア方法だと思いますが、真っ向から否定する程のアイディアがあるのでしょうか。
4%ルールをディスる根拠は?
著者は4%ルールに懐疑的で机上の空論だと断じています。
一応これまでの運用実績から裏打ちされたルールであることは分かっているようですが、インデックス運用だけではFIREは達成できないと言っています。
年間4%の運用益を出し続けられるかという部分と、年間生活費の25倍の資産をどうやって用意するかという4%ルールに必要な条件を満たす条件がインデックス運用では難しいと考えているようです。
で・・・
じゃあどうやって年間生活費の25倍の資産を作るのかという話については「小型株への集中投資」で資産を作るという話をしています。
ご自分の経験則から小型株への集中投資を勧めているようですが万人向けかというと疑問符が付きます。
話としてはありだが、再現性は低い
著者的には小型株への集中投資を勧めていますが、大きな資産を作ろうとした時に完全に間違いというわけではありません。
投資の種銭が少ないとインデックス投資で得られる利益では、資産の増加スピードは緩やかになりますので、手っ取り早く資産を増やしたいということになれば、「1つの籠に持ってる卵を全部盛る」しかありません。
そういった意味では「小型株への集中投資」は別に間違えていません。
ただ、再現性には疑問があります。
実際私もインデックス投資の傍ら、日本株に投資する際は中小株へ投資をします。
ですが、当然全部は盛りません。
100万円が300万円に増えたら良いなくらいの感覚の投資になります。
社畜にとって投資の種銭は早々溶かせません。
溶かしてしまうとまた種銭を貯めるまでに長い時間がかかるため、集中投資はリスキーな選択になります。
社畜をしている人には中々選択し辛いでしょう。
著者は創業社長の企業がテンバガーになりやすいと書いていますが、これは正解でもありますが、間違いでもあります。
上場企業の創業社長となると経営権を手放さないために、持ち株比率50%以上持っている社長も多いでしょう。
そういった会社が順調に成長して配当を出していけるようになれば、創業社長にも莫大な金銭が転がり込んでくることになるので、自社株を持っていない社長に比べれば会社を大きくしようというモチベーションが高いはずです。
そのため、当然自社株を多く持っている社長の方が、会社が大きくなる可能性は高いです。
ですが、当然全ての社長が企業を順調に大きくできるわけではありません。
それより毎期赤字垂れ流し、株価も低調という企業も多いです。
そのため、小型株への投資条件の1つにはなりますが、創業社長なだけで投資をすると8割がた失敗すると思います。
これだけでは再現性があるとは言えません。
1つの籠に卵を持っても、卵が全部割れてしまえば資産は増えません。
再現性を高めるには時間が必要
この小型株投資を成功させるためには創業社長だというだけでは無く、企業研究がマストになります。
投資する際は、オーナー企業で創業者が筆頭株主であること以外にも他の条件を確認していく必要があります。
最近は証券会社のサイトで、上場株を条件でスクリーニングすることが可能ですので、以下のような条件を設定してある程度、絞り込んだ後にその企業のHPを確認して決算や商品情報、今後の成長性を研究していくことになります。
例えば、PERは1桁~14倍、ROEは10~30%、時価総額は200億以下、キャッシュフローが継続してプラスで、過去4期の売上成長率が2倍以上といった条件で絞り込んでいきます。
絞っても何十社とあるので、ここから絞り込んだ企業のHPをチェックしたり、Webで検索していくことになりますが、投資しても良いなと思う会社を絞り込むまでにとにかく時間がかかります。
20社くらいチェックして1社あるかないか程度でしょうか。
見つかれば買いを入れて、2,3年寝かしておけば3~4倍くらいには増やせる可能性が高いので再現性はそこそこありますが・・・それでも必ず何倍にもなる訳ではありません。
社畜には中々しんどい作業です。
社畜は仕事、家事と時間を取られがちです。
残った余暇時間で投資対象になる株を探すというのもアリですが、余暇時間は遊びたい。
余暇時間は自由に使いつつ、資産は増やしたいとなると、何も考えないで投資できる金融商品ということになります。
そうなると、毎月給与の一定額をインデックスにぶち込むという投資でリタイアを目指すという投資スタイルになります。
時間が無くてもできて、時間をかければまず増えるインデックス投資は社畜向きです。
著者のような人は世の中にそんなにいっぱい居ない。
1秒でも早くリタイアしたいという人は、上記に書いたように企業研究をして、集中投資するというのもアリです。
実際著者は26歳でFIREしているので、集中投資がハマったタイプの人なのでしょう。
ですがまぁ、万人向けではありません。
余暇時間は全て投資対象の研究に使いつつ、投資判断が正確であれば5年くらいでリタイアできるかもしれませんが、そんな人はそう多くありません。
性格的な問題もあります。
1つの籠に卵を全部盛るために、コツコツ企業研究することになります。
リスク選好と安定堅実が同居する、そんな性格の人が世の中にそんなにいっぱい居るとは思えません。
私も中小型株への投資は、一時期よくやっていたのですが今はほとんどやらなくなりました。
継続して行うエネルギーが中々湧かないのです。
1度始めれば、投資対象が見つかるまで続けると思いますが、始めようという気分に中々なりません。
多分私には向いていないのでしょう。
インデックス投資は時間がかかるけど、時間をかければまず資産が増えていく投資であるため、万人向けではあります。
証券会社で積立設定しておけば、買い忘れもないですし、4半期ごとに企業決算をチェックする必要も無いので、ノーメンテです。
著者は10%下がったら狼狽して売っちゃうかもと書いていますが、インデックス投資を長く続けている人が10%程度の下落で狼狽売りをすることはまずありません。
実際、2022年の年初からS&P500のETFであるSPYは20%近く下落していますが、コツコツ長年積み立てている人が狼狽売りしたという話をあまり聞きません。
狼狽売りするのは投資を始めて数年のビギナー投資家だけです。
リタイア後であってもこの程度の下落で狼狽売りすることは無いと思いますが、リタイア後に遭遇する暴落は、社畜時代の物とは感じ方が全く異なるでしょうね。
サラリーが無い中での暴落でどんな気持ちになるのか・・
とりあえず狼狽売りは無いと思いますが、その時失ったはずの労働意欲が復活するのかもしれません。
コメント
創業社長の件は、そもそも上場ゴール狙いや、バイオみたいなIR芸能、株価抑え込んでふざけた価格でMBOとか、名証から出ないバリュー株みたいに明らかに相続対策で恣意的に何もしないクソ株もあるので、個別の銘柄分析が趣味じゃないとやってらんないですね。
最短で金持ち(富裕層の末席を汚す位?)になるだけなら自分がオーナー社長になるのが一番手っ取り早い気がします。
TFさん、コメントありがとうございます。
起業して当たれば早いでしょうけど、そういう人はそもそもFIREなんてしないでしょうね。